15秒で分かる要点
Q.自分のプランで、何が使える?
A.StarterはGmailとGeminiアプリが中心。ドキュメントやMeetはStandard以上です。▶ プラン別の機能
Q.依頼人の情報を入れても大丈夫?
A.Workspaceなら、人のレビューも学習もありません。▶ データの扱い
Q.面談を自動で記録していい?
A.相手に伝え、共有範囲を決めてから使います。▶ Meetの章
Q.まだWorkspaceを使っていない
A.14日間の無料試用から始められます。▶ 始め方
GmailやGoogleドキュメントを開くと、そこにAIがいる。Google Workspaceを契約していれば、追加の契約なしでGeminiが使えます。一方で、「自分のプランでは何が使えるのか」「依頼人とのやり取りに使っていいのか」が分からず、手を付けられていない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、プランごとに使える機能の違い、士業が安心して使える理由と注意点、そしてまだWorkspaceを使っていない方のための始め方をまとめました。なお、筆者はGoogle Workspaceを利用していないため、内容はGoogleの公式ヘルプと公開情報をもとにしています。
プラン別:使えるGeminiの機能
| 機能 | Business Starter | Business Standard | Business Plus |
|---|---|---|---|
| 月額(1人・年払い・税別) | 800円 | 1,600円 | 2,500円 |
| Geminiアプリ(データ保護つき) | ○ | ○ | ○ |
| GmailのGemini(下書き・スレッドの概要・校正など) | ○ | ○ | ○ |
| ドキュメント・スプレッドシート・ドライブのGemini | ― | ○ | ○ |
| MeetのGemini(自動メモ生成・音声翻訳) | ― | ○ | ○ |
| 日程調整サポート | ― | ○ | ○ |
| Gemini Notebook(旧NotebookLM) | 標準 | 上位 | 拡張 |
参照:Google Workspace 管理者ヘルプ Business エディションの比較/Google Workspace 管理者ヘルプ 各エディションの Meet 機能を比較する/Google Workspace 料金プラン(正規販売代理店)(いずれも2026年9月29日確認)
少人数の事務所は、どのプランを選ぶ?
| こんな事務所なら | おすすめのプラン |
|---|---|
| まずは独自ドメインのメールと、Gmailの中でAIを使えればよい | Business Starter |
| 文書作成や、オンライン面談の記録にもAIを使いたい | Business Standard |
| メールやデータの保管・検索の仕組み(Vault)も必要 | Business Plus |
この記事で紹介する機能の多くは、Business Standard以上で使えるものです。Starterを選ぶ場合は、使える機能がGmailとGeminiアプリが中心になる点を理解しておきましょう。
Workspaceだから安心できること
士業にとって、Workspaceで使う最大の利点はデータの扱いです。Googleは、WorkspaceのGeminiアプリでのチャットやアップロードしたファイルについて説明しています。人のレビュアーが確認することも、許可なくAIモデルの学習に使うこともないというものです。
| 比べる点 | 個人のGoogleアカウント | Google Workspaceのアカウント |
|---|---|---|
| AIの学習への利用 | 「アクティビティの保存」がオンなら利用される | 許可なく利用されない |
| 人によるレビュー | 一部の会話が確認されることがある | されない |
| 事務所での管理 | できない | 管理者がアカウントや設定を管理できる |
参照:Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ/Gemini アプリのプライバシー ハブ
Workspaceでは使えない機能もある
個人向けのGoogle AI Proなどには、24時間動くAIエージェント「Gemini Spark」があります。ただし、会社から配られたWorkspaceのアカウントでは使えません。個人向けの新機能がすべて使えるわけではない点も知っておきましょう。
参照:Gemini Sparkとは(Workspaceアカウントでは使えない旨)
▶ ほかのAIとの違いは:士業が生成AIを使い分けるガイド
Gmail × Gemini(全プラン)
長いスレッドの概要をつかむ
何度も往復したメールのやり取りを、AIが要約します。久しぶりに動き出した案件で、これまでの経緯と今の依頼事項を確かめたいときに役立ちます。要約で抜け落ちた条件がないかは、元のメールで確認してください。
返信の下書きを作る
受信したメールに対して、返信の候補や下書きを作れます。「丁寧に断り、別の日程を提案する」のように目的を伝えると、意図に近い下書きになります。期限や金額などの事実は、送る前に必ず確かめましょう。
文章を校正する
書いたメールの誤字や言い回しを見直せます。依頼人や相手方に送る重要なメールほど、最後は自分の目で読み直してください。
Google Meet × Gemini:面談を記録する前に(Standard以上)
「自動メモ生成」とは
Meetの会議の内容を、Geminiがメモとしてまとめる機能です。会議の後、要約と次にやることが書かれたメモが、Googleドキュメントとして主催者のドライブに保存されます。2025年3月には日本語にも対応しました。
参照:Google Meet ヘルプ Google Meet の「自動メモ生成」/ソフトバンク Google Meet自動メモ機能、日本語対応開始
依頼人との面談で使う前に確かめること
依頼人との面談を記録することは、守秘義務に直結します。使う前に、次の4点を押さえてください。
- 相手に伝える:メモの作成を始めると、参加者全員に通知され、画面に鉛筆のアイコンが表示されます。Googleも、この機能を使っていることを全員に知らせるよう案内しています。黙って使うのではなく、冒頭で一言断りましょう。
- 共有の範囲を決める:メモを共有する相手は、「招待したゲスト全員(組織外も含む)」「組織内の招待済みゲスト」「主催者と共同主催者のみ」から選べます。
- 機微な話の前に止める:主催者の組織内の参加者は、いつでもメモの作成を止められます。記録に残したくない話の前に止めて、後で再開することも可能です。
- 保存先を知っておく:メモは主催者のドライブに保存され、カレンダーの予定にも添付される仕組みです。
参照:Google Meet ヘルプ Google Meet の「自動メモ生成」
事務所として、共有の初期設定を決めておく
メモの共有の初期設定は、管理者が管理コンソールで決めておけます。初期設定は「組織内の招待済みゲスト」です。主催者がこの設定を変えられるかどうかも、管理者が選べます。依頼人との面談が多い事務所なら、初期設定を「主催者と共同主催者のみ」にしておくと、共有の範囲を誤りにくくなります。
参照:Google Workspace 管理者ヘルプ Google Meet の AI がユーザーに代わってメモを作成できるようにする
相手が主催する会議では使えない
メモの作成を始められるのは、会議の主催者と、主催者と同じ組織内の参加者です。依頼人や取引先が主催する会議では、自分の事務所が対応プランでも使えません。記録を残したい面談は、事務所の側で会議を設定しましょう。
Googleドキュメント × Gemini(Standard以上)
下書きを作る
報告書や説明資料の骨組みを、指示から作れます。契約書の下書きを作らせることもできますが、条項の内容と法的な判断は必ず資格者が行ってください。AIの下書きはたたき台です。
書き換えと要約
選んだ部分を「経営者向けに」「半分の長さに」のように書き換えられます。書き換えで法的な意味が変わっていないかを確かめてから使いましょう。
Googleスプレッドシート × Gemini(Standard以上)
スプレッドシートでも、AIに関数を書かせたり、データを整理させたりできます。考え方はExcelと同じで、いちばん安全で実用的なのは、AIに計算させずに関数を書かせる方法です。表の構造だけを伝えればよく、顧問先のデータをAIに渡さずに済みます。
▶ 関数を書かせる方法と実演は:生成AI×Excel活用ガイド
Gemini Notebook(旧NotebookLM)も使える
読み込ませた資料だけを根拠に答えるGemini Notebookも、Workspaceの主なビジネス向けエディションに含まれています。Workspaceのアカウントで使えば、評価ボタンを押しても人のレビューを受けず、学習にも使われません。判例や通達、事務所のマニュアルを扱うのに向いています。
▶ 使い方と実演は:NotebookLM(現Gemini Notebook)の使い方
まだWorkspaceを使っていない方へ:始め方
始める前に知っておきたいこと
- 14日間の無料試用がある:最大10人まで、機能を試せます。支払い情報の登録は必要ですが、試用期間中に請求は発生しません。
- 独自ドメインが必要:「○○@事務所名.jp」のようなメールアドレスのためのドメインです。持っていなければ、申し込みの途中でGoogleから購入することもできます。
- 今のメールの切り替えに注意:すでに独自ドメインのメールを使っている場合、切り替えのタイミングを誤ると、メールが届かなくなることがあります。
参照:Google Workspace 管理者ヘルプ Google Workspace の無料試用について
申し込みの5つの手順
- 公式サイトで無料試用を始める:プランを選び、事務所の名前、人数、連絡先を入力してください。
- ドメインを決める:持っているドメインを入力するか、新しく購入します。
- 管理者のアカウントを作る:最初のメールアドレスとパスワードを決めましょう。これが管理コンソールへのログイン情報です。
- ドメインの所有権を証明する:Googleが「google-site-verification=」で始まる値を表示します。これを、ドメインを管理している会社の設定画面に「TXTレコード」として追加してください。反映には最大72時間ほどかかることがあります。
- メールをGmailで受け取る設定をする:「MXレコード」をGoogleの指定する値(smtp.google.com)に変えます。この時点から、そのドメインのメールはGmailに届くようになるわけです。
所有権の証明を済ませないまま登録から21日が過ぎると、アカウントは削除されます。ただし、支払い情報を設定して有効な契約がある場合は対象外です。
参照:Gmail(Google Workspace)で独自ドメインを設定する方法(公式ヘルプに基づく解説)/TSクラウド Google Workspace 独自ドメインの設定手順
今のメールを使っている事務所の注意点
手順5のMXレコードの変更は、メールの届け先を切り替える操作です。変更した後は、それまで使っていたプロバイダやレンタルサーバーのメールボックスには、新しいメールが届かなくなります。業務のメールが止まらないよう、次の順で進めてください。
- 切り替えの前に、事務所のメールアドレスをすべてWorkspaceのユーザーとして作っておく
- 今までのメールを移す方法(移行ツールなど)を確かめておく
- 依頼人からの連絡が少ない日時を選んで切り替える
- 切り替えた後、送受信を試して届くことを確かめる
DNSの設定に不安がある場合は、ドメインを管理している会社のサポートや、Workspaceの正規販売代理店に相談するのも一つの方法です。
事務所として設定しておくこと
- スタッフごとにアカウントを作る:共有のアカウントは使わず、1人に1つのアカウントを発行します。
- 2段階認証を必須にする:パスワードが漏れても、他人がログインできないようにします。
- Meetのメモの共有の初期設定を決める:依頼人との面談が多いなら「主催者と共同主催者のみ」がおすすめです。
- 退職時の手順を決める:アカウントの停止とデータの引き継ぎの手順を、事前に決めておきます。
▶ 詳しい手順とチェックシートは:士業事務所のアカウント・権限管理
ChatGPTやClaudeと併用すべき?
最初は、Workspaceに含まれるGeminiだけで十分です。すでに料金を払っている契約の中で、学習に使われないAIが使えるからです。GmailやドキュメントとAIを行き来する日常業務は、画面を切り替えずに済むGeminiが便利でしょう。
そのうえで、Wordの文書を多く扱う、特定のAIの使い心地が合うといった理由があれば、ほかのAIを追加で検討してください。その場合も、事務所で契約する法人向けのプランを選ぶのが基本です。
明日から始める3ステップ
- Gmailでスレッドの要約を試す:全プランで使えます。長いやり取りを1つ選び、要約と元のメールを見比べてみましょう。
- 自分の業務で必要な機能を決める:面談の記録や文書作成が必要なら、Business Standardを検討します。
- 面談の記録のルールを決める:相手への伝え方と共有範囲を、事務所で統一してください。
よくある質問
Q.個人のGmailのままではだめですか?
個人のGmailでもGeminiは使えますが、設定によっては会話が学習に使われ、人のレビューを受けることもあります。また、スタッフが辞めても、事務所の側でアカウントを止められません。依頼人の情報を扱うなら、Workspaceのような事務所で管理できる契約をおすすめします。
Q.Microsoft 365とどちらがいいですか?
今使っているメールやOfficeの環境に合わせるのが基本です。Wordの文書のやり取りが多い事務所はMicrosoft 365、Gmailやドキュメントで完結する事務所はWorkspaceが向いています。
▶ 詳しくは:士業のWord・Excel・Microsoft 365選び方ガイド
Q.1人の事務所でも契約できますか?
できます。料金は1人あたりなので、1人から契約できます。
Q.Geminiを使わせたくないスタッフがいる場合は?
管理コンソールでは、部門やグループごとに設定を変えることが可能です。使える機能の範囲は、事務所のルールに合わせて決めてください。
まとめ
Google Workspaceのアカウントで使うGeminiは、人のレビューも学習もない、士業にとって安心できる入口です。ただし、プランによって使える機能は大きく違います。Gmailで試すならStarterから、面談の記録や文書作成まで使うならStandard以上を選んでください。
依頼人との面談を記録するときは、相手に伝え、共有範囲を決めてから。この一手間が、AIを使っても信頼を損なわないための基本です。
※本記事は2026年9月29日時点のGoogleの公式情報と公開情報をもとにしています。プランの内容や料金は変わることがあるため、契約前に公式サイトでご確認ください。
更新履歴:2026年9月 全面改訂(プラン別の機能、データの扱い、面談の記録の注意点、始め方を追加)
