【小規模士業向け】RPAで減らせる作業5つ:おすすめ4製品と失敗しない導入手順

小規模士業ほどRPAは“1本目”が効く

小規模な士業事務所において、RPAの導入は単なる業務効率化以上の意味を持ちます。昨今の採用難により、人を増やしたくても増やせない状況が多くの事務所で課題となっているでしょう。RPAは「デジタルレイバー(仮想労働者)」として、即戦力の役割を果たします。

特に効果を発揮するのは、転記や保存、通知といった判断を伴わない定型作業です。これらをロボットに任せるだけで、職員は付加価値の高い業務に集中できます。RPAは高度なIT技術というよりも、PC作業の手順を記憶させて代行させる「便利な道具」と捉えるとよいでしょう。


そもそもRPAとは?

RPA(Robotic Process Automation)は、PCの画面上で行う操作をソフトウェアロボットが模倣し、自動実行する技術です。Excelのマクロとは異なり、Webブラウザ、会計ソフト、メールソフトなど、複数のアプリケーションを横断して操作できます。

政府CIOポータルのガイドライン等で挙げられる主な特徴は次のとおりです。

正確性と高速性 人間のように疲れを知らず、設定されたルールに従って24時間365日、高速かつ正確に処理を続けます

アプリケーション間連携 特定のソフトに依存せず、マウスやキーボードで操作できるシステムであれば、基本的にどのソフトでも連携が可能です

比較的短期間での構築 大規模なシステム開発と異なり、既存のPC環境をそのまま利用して構築するため、導入から稼働までの期間が短い傾向があります


士業でRPAが刺さる理由(メリット)

士業の業務は期限が厳格であり、かつ正確性が求められる定型業務が多く存在します。RPA導入が推奨される理由は、具体的に次の4点です。

時間が戻る 月末の経理処理や申告時期の入力作業など、特定の時期に集中する膨大な単純作業を削減できます

ミスが減る 申請書への転記ミスや添付ファイルの漏れ、フォルダへの保存先間違いといったヒューマンエラーを物理的に遮断できます

属人化が減る ロボットに作業を教えるには、業務手順を明確なルールにする必要があります。この過程で暗黙知となっていた手順が可視化され、標準化が進むでしょう

増員せずに処理量を増やせる 人手を増やさずに2倍、3倍の処理が可能になります。繁忙期の突発的な業務増加にも、ロボットの稼働時間を延やすだけで対応可能です


先に知っておく注意点

RPAは万能ではなく、運用上のリスクも存在します。導入後にトラブルとならないよう、あらかじめ次の点を確認してください。

送信/提出は自動で完結させない 申請ボタンを押す最終工程まで自動化すると、万が一の設定ミスで誤った内容が送信される恐れがあります。最後は人の目で確認し、人がボタンを押す運用が安全です

画面が変わると止まる クラウド会計ソフトや行政サイトのデザイン(UI)が変更されると、ロボットが操作対象を見失い停止することがあります。定期的なメンテナンスが必要です

規約・負荷の問題 e-Govなどの公共サイトへ短時間に大量のアクセスを行うと、サーバー攻撃とみなされる可能性があります。利用規約を遵守し、必要に応じてAPI連携などを検討してください

個人情報・顧客情報 自動化によって個人情報へのアクセスが容易になる場合があります。誰がどのデータにアクセスしたかログを残すなど、セキュリティ対策を講じることが重要です


RPAの選び方

大企業向けの高機能な製品が、必ずしも小規模事務所に適しているとは限りません。独立直後や小規模な事務所では、次の5点を基準に選定すると失敗が少ないでしょう。

何を自動化したいか ExcelやメールなどMicrosoft製品の操作が中心か、独自の業務システムやブラウザ操作が中心かによって相性の良いツールが分かれます

実行形態 職員のPCで業務を補佐する「アテンド型」か、専用PCで夜間休日に大量処理を行う「無人(アンアテンド)型」かを決めます

サポート IT専任者がいない場合、トラブル時に相談できる窓口や伴走支援があるかが重要です。ここが定着の可否を分ける大きな要因となります

ライセンスの単位 PC1台ごとの課金か、作成するロボット数やユーザー数による課金かを確認します。将来的な職員の増員や拠点の展開を見据えた検討が欠かせません

運用 ロボットが停止した際、誰が修正するのかを想定しておきます。属人化を防ぐため、簡易的な手順書やログの管理ルールを決めておきましょう


おすすめRPA 4選(小規模士業向け)

士業事務所での導入実績があり、小規模からでも始めやすいツールを4つ厳選しました。

1) Robo-Pat DX(ロボパットDX)【“現場が自分で作る”寄せ】

プログラミングの専門知識がない事務スタッフでも直感的に作成できるよう設計されています。

強み 画像認識技術を使い、画面上の見た目通りに操作を指示できます。エンジニアでなくとも「手順どおりに教える」感覚で作成可能です

サポート 導入後の定着を重視しており、無料の個別相談やWeb勉強会などの伴走支援が充実しています

向くケース IT担当がおらず、現場の事務員が主導してブラウザ操作やファイル整理などの自動化を進めたい事務所に適しています

2) Power Automate【Microsoft 365寄せ(メール/SharePoint/Excelが強い)】

Windows OSに標準搭載されている機能もあり、Microsoft製品との連携に優れたツールです。

強み クラウド上のデータ連携(フロー)と、デスクトップ上の操作自動化(RPA)を一つのプラットフォームで管理できます

費用感 Windowsユーザーであれば追加費用なしで一部機能を利用できるほか、有料プランもユーザー単位やボット単位で明確です

向くケース Outlookでのメール送受信、Teamsでの通知、SharePointでのファイル共有など、Microsoft 365環境を中心に業務が回っている事務所に最適です

3) WinActor【“1台PCを固める”寄せ(国内で導入多い系)】

NTTグループが開発した純国産RPAで、日本企業の業務習慣に合わせた機能が豊富です。

強み PC1台にインストールして使う「ノードロック型」のライセンスがあり、スモールスタートしやすい点が特徴です

向くケース 特定のPC端末で行う決まった定型業務(専用端末での台帳更新、特定サイトからの情報取得など)を確実に自動化したい場合に適しています

4) UiPath【将来の“無人実行・統制”寄せ(拡張枠)】

世界的にシェアが高く、小規模から大規模まで拡張性が非常に高いツールです。

強み 人の判断を介在させるアテンド型と、完全に自動化するアンアテンド型の使い分けが明確です

統制 「Orchestrator」という管理機能により、複数のロボットを一元管理できます。セキュリティやガバナンスを重視する際に強みを発揮します

向くケース 最初は小さく始めつつも、将来的には複数台のロボットによる夜間バッチ処理や、事務所全体の統制管理を目指す場合に推奨されます


最初に自動化すべき業務トップ5(士業共通)

RPA導入で最初に挫折しないコツは、複雑な業務ではなく「単純だが頻度が高い業務」から始めることです。次の5つは成功体験を得やすい業務です。

1.メール添付→案件フォルダへ自動保存 顧客から届いたメールの添付ファイルを、日付や顧客名のルールに従ってリネームし、所定のサーバーへ保存します

2.期限リマインド Excelなどで管理している案件一覧から、申告期限や更新期限が迫っている案件を抽出し、担当者にチャットやメールで通知します

3.テンプレ文書の差し込み→PDF化→保存 顧客リストから住所や氏名を読み取り、送付状や委任状などの定型Wordファイルに差し込んでPDF化します

4.不足資料依頼 受領資料のチェックリストを確認し、未受領の項目がある顧客に対して、テンプレートを用いた督促メールの下書きを作成します

5.台帳更新 電子申請の完了通知や受領印付きのPDFを確認し、案件管理台帳のステータスを「完了」に更新したり、入金情報を消し込んだりします


「結局どれが一番ハマる?」早見表

ツールの選定に迷った場合は、事務所のIT環境や運用体制に合わせて次のように判断してください。

Microsoft 365中心の環境ならOutlookやExcelとの連携が強力な Power Automate
現場スタッフが自分で作りたい、手厚い支援が欲しいなら直感的な操作と伴走サポートがある Robo-Pat DX
特定のPC1台で確実に定型業務を回したいなら安定稼働と実績のある WinActor
将来的に無人実行や大規模な統制管理まで見据えるなら拡張性と管理機能に優れた UiPath

士業別(結論→向く業務→おすすめ製品→導入の一歩目)

弁護士

結論 Microsoft 365を利用しているケースが多いため、基本はPower Automateが適しています

向く業務 裁判所提出書類のPDF化と保存、期日管理とリマインド通知、書面のドラフト生成、依頼者への不足資料連絡、案件台帳の更新などです

おすすめ製品 Microsoft 365中心ならPower Automate。裁判所のWebポータル操作などが多ければRobo-Pat DXも検討に値します

導入の一歩目 「添付ファイルの名付けと案件フォルダ保存」から始めましょう。例外処理が少なく、導入効果をすぐに実感できます

税理士

結論 Microsoft 365環境ならPower Automate、会計ソフトなどの専用画面操作が多いならRobo-Pat DXが適しています

向く業務 証憑書類の回収とフォルダ振分、ネットバンキングからの入出金データDL、月次試算表の作成チェック、繁忙期のスポット業務などです

おすすめ製品 現場での多様なソフト操作にはRobo-Pat DX、アプリ連携にはPower Automateが向いています

導入の一歩目 「証憑の保存・名付け」の自動化から着手し、次に手間のかかる「不足資料依頼」へ広げると効率的です

司法書士

結論 特定の端末での作業が多いため、WinActorでPC1台を固めるか、現場主導ならRobo-Pat DXを選びます

向く業務 登記識別情報のPDF命名と格納、登記ねっと等での照会と保存通知、申請用添付書類の準備、台帳と申請ソフト間の転記補助などです

おすすめ製品 PC単位で導入しやすいWinActor、または現場スタッフが使いやすいRobo-Pat DXです

導入の一歩目 「ファイル名付け・フォルダ格納・台帳へのリンク貼り付け」のルールを統一し、その作業を自動化してください

行政書士

結論 多種多様なWebフォームへの入力や添付書類の処理が多いため、Robo-Pat DXがハマりやすい傾向にあります

向く業務 申請書テンプレートのPDF化、添付書類の形式変換、審査状況のステータス確認と報告作成、不足資料のリストアップなどです

おすすめ製品 現場で柔軟に修正対応ができるRobo-Pat DXが第一候補です。M365活用が進んでいればPower Automateで周辺を固めます

導入の一歩目 「添付書類の準備(変換・名付け・格納)」から始めると、申請時の形式不備による差戻し削減に直結します


まとめ

小規模士業におけるRPA導入は、コスト削減だけでなく、事務所の持続可能性を高めるための投資です。まずは「メール添付の保存」や「期限のリマインド」など、小さく確実な業務を一つ自動化することから始めてみてください。それだけで、精神的な余裕と顧客に向き合う時間が生まれるはずです。

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