
GenSparkなどの外部ツールも便利ですが、セキュリティや使い勝手の面から、業務で使う「Googleスライド」の中で完結させたいニーズもあるでしょう。 2025年11月、GoogleはNotebookLMに「スライド作成機能」を、Googleスライドに最新画像生成AI「Nano Banana Pro」を搭載しました。 手持ちの資料から構成を作り、プロ並みの図解を差し込む。 Google純正ツールだけで完結する、士業のための最強ワークフローを解説します。
1. NotebookLMの進化。「読む」AIから「スライド構成」を作るAIへ
これまでのNotebookLMは、アップロードした資料の要約やQ&Aを行う「リサーチツール」としての側面が強いものでした。 しかし、今回のアップデートで「スライドデッキ(Slide Deck)作成機能」が追加され、資料作成のプロセスが大きく変わります。
- 根拠資料に基づく構成案 官公庁のガイドラインや専門書(PDF等)を読み込ませるだけで、その内容を要約したスライドの「章立て」と「各ページの要点」を自動生成します。
- 士業にとってのメリット ゼロから内容を考えるGenSparkとは異なり、「手元にある確かな資料」をベースにするため、ハルシネーション(嘘)のリスクを抑えつつ、正確な構成案を瞬時に作成できます。
2. Googleスライドで使える「Nano Banana Pro」。図解と文字が崩れない衝撃
「Nano Banana Pro」は、Googleが発表した最新の画像生成AIモデル(Gemini 3 Pro Image)です。 Googleスライドのサイドパネルから直接呼び出すことができ、これまでの画像生成AIが苦手としていた「図解」や「文字の描写」に革命を起こしました。
- 「インフォグラフィック」が得意 「相続の手続きフロー」や「会社設立のステップ」といった指示を出すと、流れ図やチャートを生成します。 特筆すべきは、図の中にある「日本語の文字」が崩れずに、正確に描写される点です。
- 抽象概念の可視化 「信頼」「対立」「成長」といった概念的なイメージ画像も、プレゼンのトーンに合わせた画風(ベクターアート風、水彩画風など)で生成可能です。 これにより、フリー素材サイトを探し回る時間が不要になります。
3. 士業の実務ワークフロー。資料の「要約」から「図解」までGoogleで完結
これら2つのツールを組み合わせることで、次のような効率的な作成フローが実現します。
- NotebookLMで「骨子」を作る 難解な改正法の解説PDFなどをNotebookLMにアップロードし、「初心者向けセミナーのスライド構成案を作って」と指示して、スライドの土台(テキスト情報)を出力します。
- Googleスライドへ移行する 出力された構成案をGoogleスライドに貼り付けます。
- Nano Banana Proで「図解」する 文字ばかりのスライドに対し、サイドパネルから「この内容を要約したインフォグラフィックを生成して」と指示し、視覚的な解説図をその場で生成して配置します。
【実践例】士業の実務ワークフロー。「フリーランス新法」解説資料を10分で作る
ここでは、複雑なガイドラインを基に、顧問先企業向けの解説スライドを作成する手順を紹介します。
【Step 1】NotebookLMで「構成案」を出力する
まず、厚生労働省などが公表している「フリーランス・事業者間取引適正化等法ガイドライン(全100ページ)」のPDFをNotebookLMにアップロードします。 チャット欄に次の指示を入力しましょう。
「このガイドラインを基に、発注事業者(企業)が注意すべきポイントをまとめた、全5枚のスライド構成案を作成してください」
NotebookLMは資料を読み込み、正確な情報の抽出と章立て(1. 法の目的、2. 禁止行為、3. 体制整備など)を行います。
【Step 2】Googleスライドに「骨子」を貼り付ける
出力された構成案(テキスト)をコピーし、Googleスライドに貼り付けます。 この時点では文字だけのスライドですが、法的な正確性はNotebookLMによって担保されています。
【Step 3】Nano Banana Proで「図解」を加える
文字ばかりで分かりにくい「取引条件の明示義務」のスライドを開きます。 サイドパネルの「Nano Banana Pro」に、次のように指示を出します。
「発注から契約締結までの流れを示すフローチャートを生成してください。スタイルは『フラットデザイン』で、青色を基調にしてください」
AIがスライドの内容を理解し、その場で視覚的な図解を生成します。 これを配置すれば、専門的な根拠に基づき、かつ視覚的にも洗練された資料の完成です。
※実際にこの手順で5枚分のプロンプトを入れて作成した資料がこちら(PDF)です。1から3までわずか10分程度でこのような資料作成が可能です。
従来の画像作成AIは言葉の入った画像、特に日本語を含んだ画像は文字化けのような文字になってしまい、画像だけ作成して後から画像ツールで文字を入れ込む作業が必要でした。しかし、nanobanana Proであれば、一発で正しい日本語の入った画像、インフォグラフィックを作成できます。
4.士業別効果的な活用方法
上記で紹介した以外でも、さまざまな場面でGoogle スライドとNanobanana Proを使うことで、業務効率化にも大きく貢献します。ここでは、各士業の専門領域に合わせた、具体的なプロンプト例と活用シーンを紹介します。
弁護士:事故状況や現場の再現
口頭では伝わりにくい交通事故の状況や、事件現場の見取り図イメージを作成する際に有効です。
- プロンプト例:「信号機のない交差点で、左側から来た赤いセダンと直進する青い自転車が接触しそうな状況を俯瞰図で描画。フラットデザイン」
※証拠資料ではなく、あくまで説明補助資料として用いる旨の注記は必要です。
税理士:難解な税制の図解化
インボイス制度や複雑な控除の仕組みを、クライアント向けニュースレターで解説する際の挿絵として活用できます。
- プロンプト例:「確定申告の書類を作成して悩んでいるビジネスマンと、それを笑顔でサポートする税理士のイラスト。温かみのある線画スタイル」
司法書士・行政書士:手続きフローのビジュアル化
相続登記や許認可申請の流れを示す際、各ステップを象徴するアイコンやイラストを統一感のあるトーンで生成できます。
- プロンプト例:「法務局の建物を表すシンプルなアイコン。青と白の2色構成。ミニマリズムデザイン」
5. Nanobanana Proを利用するために必要なこと
Nanobanana ProをGoogleスライド上で利用するには、Google Workspaceの特定のアドオン、または個人向けのAIプレミアムプランへの加入が必要です。 士業の方の働き方(法人契約か、個人事業主か)に合わせて適切なプランを選択してください。
個人事業主・フリーランスの方:Google One AI プレミアム
Google Oneの「AIプレミアム」プランに加入することで利用可能です。 このプランは月額2,900円(税込)で提供されており、2TBのストレージに加え、GoogleドキュメントやスライドでGemini(Nanobanana Pro含む)が利用可能になります。 小規模事務所や個人で活動されている士業の方には、コストパフォーマンスの面でこちらのプランが適している傾向があります。
法人・組織で利用の方:Gemini for Google Workspace
組織としてGoogle Workspaceを利用している場合は、アドオンである「Gemini Business」または「Gemini Enterprise」の契約が必要です。 これらは通常のWorkspace料金に加え、1ユーザーあたり月額2,000円〜3,000円程度(為替や契約数による)の追加費用が発生します。 組織全体でのセキュリティ管理やデータ保護を重視する場合は、こちらを選択するのが一般的です。
回数制限と商用利用
生成回数に厳格な日次上限は公表されていませんが、短時間に大量の生成を行うと一時的な制限がかかる場合があります。 作成した画像は商用利用が可能ですが、電子透かし「SynthID」が埋め込まれるため、AI生成物であることを隠して使用することはできません。
6. まとめ
外部ツールを使わずとも、Google Workspaceの環境内だけで、資料の「構成」から「高度なデザイン」までが完結する時代になりました。 「手持ち資料の正確なスライド化」ならNotebookLM、「直感的な図解作成」ならNano Banana Pro。 用途に合わせてこれらを使いこなし、資料作成の時間をさらに短縮してみてはいかがでしょうか。

