第1回でPowerPointの操作技術を紹介しましたが、優れた技術があっても「何を」「どの順番で」話すかが決まらなければ、資料作成は始まりません。 特に士業のプレゼンテーションは、「顧客への提案」や「セミナー登壇」など目的が明確です。 本記事では、士業が遭遇する3つの主要なシーン別に、聴衆の理解を得て、信頼を獲得するための「構成の型」を、具体的なテンプレートと共に解説します。
1. なぜ「型(テンプレート)」から始めるべきなのか?
ゼロから構成案を考えると、多くの時間を要する場合があります。 しかし、プレゼンテーションの目的(提案、解説、共有)によって、最適な「情報の提示順序」は、ある程度決まっています。 型を用いることで、構成に悩む時間を「内容のブラッシュアップ」に充てられ、資料の質を高めることが可能になります。
2. 【シーン別・型(1)】顧客への「提案・説明」用
- 目的: 相手(顧客)の不安や疑問を解消し、行動(契約・依頼)を促します。
- 例: 相続対策の提案、顧問契約のメリット説明、M&Aスキームの解説など。
- 構成のポイント: 結論を先に示し、「顧客にとっての具体的なメリット」を明示することが重要です。
▼ 顧客提案用「信頼獲得」テンプレート(構成例)
- 表紙・挨拶: 事務所の紹介、本日のテーマ
- 現状の確認(課題の共有): 「現在、このような点でお困りではありませんか」(顧客の課題を言語化し、認識を合わせます)
- 【結論】本日のご提案: 「その課題に対し、当事務所は『〇〇』をご提案します」
- 提案の具体的内容: スキーム図、対策のステップ、法的な根拠などを提示します。
- 実行した場合のメリット: 節税効果のシミュレーションや、リスク回避の効果など、対策の前後(Before/After)を具体的に示します。
- 当事務所の強み(選定理由): 実績、専門性、サポート体制など、なぜ当事務所が最適かを説明します。
- スケジュールと費用: 今後の流れ、明確な見積もりを提示し、不安を解消します。
- 質疑応答
3. 【シーン別・型(2)】「セミナー・研修」登壇用
- 目的: 専門知識を分かりやすく伝え、「専門家」としての信頼性を確立します。
- 例: 法改正解説セミナー、経営者向け労務管理研修、一般向け相続勉強会など。
- 構成のポイント: 冒頭での「興味喚起」と、専門用語を「平易な言葉へ翻訳する」工夫が求められます。
▼ セミナー登壇用「満足度向上」テンプレート(構成例)
- 表紙・講師紹介: 実績や専門分野を簡潔に紹介します。
- 導入部(アジェンダ): 「本日はこの3点をお持ち帰りください」(聴衆が得られるメリットを先に提示し、聴く動機を明確にします)
- 問題提起: 「なぜ今、このテーマが重要なのか」(最近のニュース、よくある誤解などを挙げ、テーマの重要性を共有します)
- 本編1:【基礎】〇〇とは?: 制度の概要、用語の解説を行います。
- 本編2:【本論】今回の改正点 / 最大のポイント: 図解や事例を交えて、最も伝えたい核心部分を解説します。
- 本編3:【対策】では、何をすべきか?: 聴衆が「今日からできること」や「注意すべきこと」を具体的に提示します。
- まとめ(振り返り): 本日の重要ポイント(例:3点)を再度確認します。
- 質疑応答 / 事務所紹介(結び)
4. 【シーン別・型(3)】「所内勉強会・情報共有」用
- 目的: 情報を正確に、網羅的に共有し、事務所全体の知識レベルを統一します。
- 例: 最新判例の共有会、新人スタッフ向け実務研修、新ツールの導入説明など。
- 構成のポイント: 「情報の正確性」を担保しつつ、一方的な説明に終始せず「議論の活性化」を促す仕掛けが有効です。
▼ 所内勉強会用「知識定着」テンプレート(構成例)
- 表紙・テーマ: 「〇〇に関する最新判例共有会」
- 勉強会のゴール: 「本日のゴール:この判例が実務に与える影響を全員が理解する」(目的を明確にします)
- アジェンダ
- 【情報共有】事実・概要: 何が起こったのか、変更点は何か、を客観的に共有します。
- 【論点】実務への影響・注意点: 顧客対応で変えるべきこと、潜んでいるリスクなどを整理します。
- 【議論】ディスカッションテーマ: たとえば「A社のような顧客には、どう説明すべきか?」など、実務に即した議題を提示します。
- 決定事項・ToDo: 今後のアクションプラン、マニュアル更新の担当などを決定します。
- 参考資料
5.まとめ
プレゼンテーションの資料作成は、目的に合わせた「型」を用いることで、難易度が大きく下がります。 顧客への提案、セミナー、所内共有といったシーン別に構成を使い分け、効率的に「伝わる資料」を作成しましょう。
次回は「第3回:ChatGPT・Copilotで激変!AI資料作成術編」として、AIを活用したさらに進んだ作成術を解説します。

