【保存版】弁護士・税理士・司法書士へ。Gemini 3の「思考力」で実務が変わる。職種別・活用プロンプト集

前回の記事で、2025年11月、Googleは最新AIモデル「Gemini 3」を発表したと紹介しました。 「また新しいAIが出たのか」と思われるかもしれません。しかし、今回の進化は、正確性と論理性が求められる士業の皆様にとって、過去のどのアップデートよりも重要な意味を持ちます。

この記事では、Gemini 3がこれまでのAIと決定的に異なる「推論(Thinking)」能力について解説し、弁護士・税理士・司法書士の各業務において、その能力を最大限に引き出すための「実務プロンプト(指示書)」を具体的にご紹介します。

1. なぜ「これまでのAI」ではなく「Gemini 3」なのか?

これまでの生成AI(Gemini 1.5 ProやGPT-4など)と、今回のGemini 3には、士業実務において決定的な「差」があります。それは「回答する前に、立ち止まって考えているか」という点です。

これまでのAI:直感的な回答

従来のAIは、膨大なデータから「確率的にありそうな答え」を即座に生成していました。 そのため、一般的な質問には答えられても、「A条項とB条項の論理的な矛盾」や「複雑な税務リスクのシミュレーション」といった、多段階の論理ステップを必要とするタスクでは、浅い回答や論理破綻(ハルシネーション)が起きがちでした。

Gemini 3:論理的な思考(Thinking)

Gemini 3は、回答を出力する前に、内部で数秒〜数十秒の「思考プロセス」を経ます。 「まずは条文の原則を確認しよう」→「次に例外規定へのあてはめを行おう」→「矛盾がないか検証しよう」といった、専門家が脳内で行っている思考手順をトレースしてから回答するため、以下の点で実用性が格段に向上しています。

  1. 論理の深さ: 「なんとなく」ではなく「法的根拠に基づいた」推論が可能。
  2. ハルシネーションの低減: 思考プロセス内で自己検証を行うため、明らかな嘘が減る。
  3. 文脈(Vibe)の調整: 「顧問先への配慮」など、微細なニュアンスを汲み取る。

2. 【職種別】Gemini 3の思考力を引き出す実務プロンプト

ここからは、各士業の業務特性に合わせ、Gemini 3の能力をフル活用するためのプロンプトを紹介します。 コピー&ペーストして、( )内の情報を書き換えるだけですぐにお使いいただけます。

①【弁護士向け】契約書の論理矛盾・リスク検知

弁護士業務において、Gemini 3は「冷静なダブルチェッカー」となります。 単なる誤字脱字ではなく、条項間の整合性や、依頼者に不利な解釈の可能性を推論させます。

  • 活用シーン: 契約書ドラフトの一次レビュー
  • プロンプトの型:

あなたは企業法務に精通した弁護士です。 (買主)側の代理人として、以下の契約書ドラフトをレビューしてください。

単なる形式チェックではなく、「思考プロセス」を用いて条項間の論理的整合性を検証し、以下の点を指摘してください。

  1. 論理矛盾の指摘: 定義条項と各条項の使い分けや、解除条項と損害賠償条項の関係において、矛盾や不明確な点はないか。
  2. 隠れたリスク: 一見公平に見えるが、実務上(買主)にとって著しく不利になり得る解釈の余地はないか。

指摘事項には、必ず「法的根拠」と「具体的な修正案」をセットで記載してください。

【契約書ドラフト】 (ここにテキストを貼り付け)

②【税理士向け】税務リスクのシミュレーション

税理士業務では、判断に迷うグレーゾーンの事例について、「調査官の視点」でシミュレーションを行わせるのに適しています。

  • 活用シーン: 役員給与や交際費など、否認リスクのある処理の検討
  • プロンプトの型:

あなたは経験豊富な税理士であり、元国税調査官の視点も持っています。 顧問先(売上〇億円の建設業)から、「役員に対して期中に〇〇という名目で金銭を支給したい」と相談を受けました。

この支給が「定期同額給与」や「事前確定届出給与」の要件を満たさず、税務調査で損金算入を否認されるリスクについて検討してください。

以下のステップで深く思考し、回答してください。

  1. 調査官の論理: 調査官なら、どの事実や条文を根拠に否認を主張してくるか(3つ挙げる)。
  2. 反論の構築: それに対し、会社側が主張できる対抗ロジックはあるか。
  3. 結論: 最終的なリスク判定(高・中・低)とその理由。

③【司法書士向け】登記申請書類の要件チェック

司法書士業務では、形式的かつ厳格な要件が求められる「商業登記」の書類チェックで威力を発揮します。数値や定足数の計算も含めた論理チェックを行わせます。

  • 活用シーン: 株主総会議事録の法務局提出前のチェック
  • プロンプトの型:

あなたは商業登記の専門家である司法書士です。 以下の「臨時株主総会議事録(案)」をチェックし、登記申請に添付する書面として不備がないかを確認してください。

特に以下の点を重点的に推論・指摘してください。

  1. 開催要項の適法性: 招集通知の発送日から開催日までの期間は会社法(または定款)の規定を満たしているか。
  2. 定足数の計算: 記載された出席株主数と議決権数は、決議要件(普通決議・特別決議)を満たしていると読み取れるか。
  3. 記載の整合性: 議事録署名人の選定は適切か。

指摘事項がある場合は、具体的な条文(会社法)と修正案を提示してください。

【議事録(案)】 (ここにテキストを貼り付け ※個人名はマスキングすること)


3. 【重要】利用における3つの注意点

Gemini 3は優秀ですが、専門家である皆様が以下のルールを守ることで、初めて安全に活用できます。

  1. 顧客情報の入力は厳禁(マスキングの徹底) 「A社」「甲氏」のように固有名詞を伏せて入力してください。AIに入力した情報は学習データとして利用されるリスクがあるため、顧客の機密情報をそのまま入力してはいけません。
  2. ハルシネーション(虚偽生成)への警戒 推論能力が向上したとはいえ、Gemini 3も「もっともらしい嘘」をつく可能性があります。特に判例の年月日や条文番号については、必ずご自身の目で一次ソースを確認してください。
  3. 「最終判断」は専門家の責任 AIが出力した見解は、あくまで「セカンドオピニオン」や「たたき台」です。そのまま顧客に提示するのではなく、専門家としての知識で精査・修正した上でアウトプットしてください。

4. まとめ

Gemini 3の登場により、AIは「文章を作るツール」から「一緒に考えるパートナー」へと進化しました。 特に、複雑な論理構成が必要な士業の実務において、その恩恵は計り知れません。 まずは、個人情報を含まない一般的な事例や、公開されている書式のチェックなどから、この新しい「思考するAI」との協業を始めてみてはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました