「体験を売る」と「付加価値で売る」の違い
商品を売ってはいけません。 その3-いすみ鉄道 社長ブログ
この記事のこの部分
いすみ鉄道は何を販売しているかというと、「ローカル線の旅」をお楽しみいただくことで、昭和の里山が残る沿線風景の中、のんびりとローカル線の旅を体験していただくことを販売しているのです。
だから、いすみ鉄道の中で一番売れている切符は1日フリー乗車券。
例えばJRで大原へ来たお客さんが、いすみ鉄道に1日乗り放題乗って、また大原からJRでお家へお帰りになるわけですから、JRは輸送機関ですが、いすみ鉄道は目的地へ行く輸送という商品を販売しているのではなくて、「乗ることそのものが目的」という体験を販売しているわけです。
「体験を売る」というのは、ここでは「輸送という商品を販売しているのではなく」と書いてあるけど要はお客さんが「商品」を見る視点をちょっと変えてあげるということだと思う。
で、次に「付加価値で売る」について。
よくコンビニなんかで見かける缶コーヒーやペットボトルのお茶にアニメのフィギュアや手ぬぐい、ミニカーなどをオマケにつけてるやつ。
オマケを付けることで他社の缶コーヒーやペットボトルのお茶と差別化を図ってこっちを買ってってやるやり方。
これはお客さんに「商品」から視点をちょっと外してもらうということ。
・「商品」を見る視点をちょっと変えてあげる
・「商品」から視点をちょっと外してもらう
前者はあくまでも商品ありき。後者は付加価値ありき。似ているようで全く違う。
商品ありきであれば、お客さんもちゃんと記憶に残るし気に入ればまた利用したいと思ってもらえる。
でも付加価値ありきの方はオマケ目当てで買ってるので飲んだものの商品名なんてたいてい覚えちゃいない。なのでオマケが無くなったらもうリピートされる可能性は偶然以外はほぼ無いに等しい。
もちろん、コンビニで売っているような缶コーヒーっていうのは誰もが知っている大手メーカーの認知度の高いものばかり。販促費だって他に比べれば潤沢。
つまりそのキャンペーン期間中にどれだけ売上を作れるかが重要なのでリピーター作りが目的な訳ではないのだろう。
ここで問題なのはコンビニになんて置いてもらえないぐらいの知名度の低い商品を売る際にその方法として「付加価値で売る」を選択してしまうこと。
無理して予算捻ってオマケつけて宣伝して、確かにその時はちょっとは売れるかもしれない。でも前述したようにこんな売り方でOKなのは誰もが知ってる大手メーカーだけ。
予算が無くなったらそこでお終い。オマケに釣られたお客さんはだれもその商品名なんて覚えちゃいない。
先日も書いたけどまずは商品力を付けることが最重要でその上で手間ひまかけてでも商品自体の魅力で体験してもらえる施策をいかに考えられるかが大事ってことなんだろうなぁ。
「付加価値で売る」が間違ってるってことじゃなくてまず商品力ありきってとこを認識してなきゃダメよってことだね。
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