万年筆とCD
6年前のPILOTの「万年筆は、メールやブログに賛成です。」という新聞広告
PCで文書作成し、携帯でメールを打つことが当たり前となった今、万年筆を使う機会は以前に比べ圧倒的に減ったと思いがちだけど……
そもそも万年筆を使う人なんてPCが普及する前でも極一部の人だったと思う。でもメールやブログ、SNSなどでそれ以前に比べて文章を作成する機会は実はものすごく増えている。
そしてPCや携帯で気持ちや想いを伝えたいと必死になっているうちにもっと上手く相手に届けたい。もっとしっかり相手に伝えたい。という欲求が湧く人は少なくないはず。
そう考えている人がこの広告を見たら自分の文字で書くことの重要性に改めて気づくかもしれない。
PCや携帯で文章を作成する人を敵視せず、上から目線で蔑むこともなく、文章を作成することに興味を持った人達に対してこういったツールもありますよとさりげなく伝える。
絵文字や顔文字では伝えきれない何か、想い。そういったものが自分の字で書くことで少しでも伝わるかもしれない。そう思わせるだけの力がこの広告にはあるのかなと思う。
さて、違法ダウンロードのせい、YoutubeのせいでCDの売上が落ちてると必死になっている音楽業界。
万年筆と1つだけ違うのはバカみたいにCDが売れた時期がPCや携帯が普及するちょっと前だったってこと
だから短絡的に違法ダウンロードのせい、Youtubeのせいにしてるけど、実は純粋に音楽が好きな人なんて90年代初頭にCDを買いまくってた人達の中でも極一部だったんじゃないかと思っている。
当時、自分の周りにもCDをたくさん買ったりレンタルしてる人はいっぱいいたけど、そのほとんどは単にカラオケで歌いたいだけだったり世間で流行ってる曲をまとめてレンタルしてダビングしてるだけだったりと、音楽が好きってよりはファッションの一部として聞いてるって人の方が多かった。
もちろん、そういった聞き方を否定するつもりはないし確かに音楽なんてファッションの一部だ。でもそういった聞き方をする人は長続きはしない。他にもっと興味があるものが出来れば簡単にそっちへ流れていく。だってファッションだから。
そして今、その当時と比べて音楽を聞ける環境はより良くなっている。テレビやラジオだけではなく、ネットを開けば24時間、好きな音楽を聴くことができる。ブログやメール、SNSで文章を作成する機会が膨大に増えたのと同じように。
純粋に音楽が好きな人はもちろん、それほどでもない人が音楽に触れる場所としてもっともっとネットを有効に使えばいいのにと思う。
具体的にはPVでも試聴でももっと長いバージョン(できればフル)を増やしてみてはどうか?そんなのあったらもっと買わなくなるって思うかもしれないがそんなことはない。
海外の音楽販売サイト、bandcamp.comでは全ての曲をフルで聞いて購入するかどうかを決められる。よくある質問の中で「どうしてフルコーラス試聴なのでしょう。30秒ぐらいの部分試聴にしてみては?」という問いに対してこう回答している(上から7つめ)。
『音楽の消費』というものは特異です。本や映画は一度読んだり、観たりしてから購入するということがないのに対して、音楽ではそれがあり得ます。
先に『聞いてもらうこと』が音楽にとって最良の宣伝方法であることは、ラジオが随分前に証明してくれています。人は音楽を最初に聞いて、運が良ければ気に入って、そしてさらに運がよければお金を払って買います。リスナーは必ずこの順序で音楽を手にいれます。この順序が逆になることはあり得ません。(だって、知らない音楽にお金をだして買おうなんて思う人はいないでしょう?)こういった理由から、30秒間の試聴は時間の無駄と考えています。本当に無駄。あんなのであなたの音楽を好きになったり、大切にしてくれるようにならないですよ。
日本語約はこちらから頂きました。
自分がBiSに興味を持って実際にCDを購入しようと思ったのもYoutube上にたくさんのライブ映像があっていくつもの楽曲をショートレンジではなくフルで聞けたから。
長くなったけど結論としてはいい音楽をもっとたくさんちゃんと聞かせてよってこと。今更ネットを敵視したってどうにもならないよ。
その後、万年筆の売上が上がったかどうかはミステリーだけどね。
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