「好きになってもらう」と同じぐらいに「嫌われない」が重要
自社の商品、サービスを購入してもらい、さらにリピーターになってもらうには、商品、サービスはもちろん、会社、場合によっては社員、店長、店員などの個人を「好きになってもらう」必要がある。
でも「好きになってもらう」だけを考えて販促活動を行うとその過程で多くの重要なものを失っていく危険がある。販促活動は「好きになってもらう」と同時に「嫌われない」ための施策も行わないとダメだよね。
情報が欲しい人に購入するための広告を見せない
2012年のad tech東京において、高広伯彦氏が行ったインバウンドマーケティングの講演を聞い際に特に印象に残っているのが下記の部分。
私たちはランディングページでのコンバージョン率を5%からなんとか0.5でも
1%でも上げたいと考えますが、もちろん他の店舗で買ったという人もいる
ものの情報が欲しいという段階の95%のユーザーを逃してしまっているのではないか?そういったユーザーにしっかりと適切に情報を提示して関係性を育てていって
最終的に購入したいとなった時にちゃんと自店舗で買ってもらえるように
しようよ、というのがインバウンドマーケティングの基本的な考え方です。
広告を出す際に一番気にするのはコンバージョン率。その広告を何人がクリックするのか?そしてクリックした人の中で何人の人が購入してくれるのか?の部分。
コンバージョン率というのは自社の商品、サービスになんらかの興味を持ってくれた方の中で最終的に何人の人に「好きになってもらえたか」を数字にしたもの(必ずしも好きになったから購入するという訳でもないけど)。
しかし逆に考えると5%の人に好きになってもらうことだけを考えるあまり、もしかしたら95%の人に嫌われる可能性もあるということを忘れてしまって(あえて考えない)はいないだろうか?
今すぐに欲しいという訳ではない人を購入ページへ誘導することは店舗側、お客様側どっちにとっても幸せな結果をもたらさない。
検索キーワードの中には直接、購入に結び付くキーワードもあれば、まだ調査や比較検討段階でのキーワードもあるはず(仮説を立て実践、検証をしっかりと繰り返す必要はあり)。
この辺りをきっちりと調べていき、購入に結び付くキーワードでなければ情報を提示するページへ誘導し、場合によっては資料やより詳しい情報をメールアドレスと引き換えにダウンロード配布するなどして、その後も継続的にその方と関係性を育てていくことで最終的に購入してもらえるようにすることが大事。よくよく考えたら当たり前のことだけど5%の人と95%の人はちゃんと分けて考えないとダメ。
メルマガ購読者は量より質を重視する
商品、サービスを購入してもらう上でコンバージョン率を上げるのが難しいとなった場合、考えられるのは広告、情報をみて貰える母数を増やすという施策。
検索広告の場合であればビックキーワードなどより露出が高まるキーワードを選定すれば当然、見て貰える母数は増えるけど、それに合わせて費用もかなり高くなり、予算によってはあまり現実的ではないのでここはメルマガで考えてみる。
例えばコンバージョン率が5%で今、メルマガ購読者が100人だとすると購入してくれるのは5人。これを倍にしたい場合、購読者を200人にすれば理論上は10人が購入してくれることになる。
ではどうやって購読者数を増やすか?色々な方法があると思うけど、比較的簡単で早く集める方法としてプレゼントやSNSでの懸賞を利用するというのがある。
闇雲に自社サイト、ブログ、SNSなどで告知してもなかなか急激に購読者を増やすのは難しい。そこで自社の商品をプレゼント(懸賞)にすれば少なからずその商品やカテゴリに興味関心を持った人を短期間で一気に集めることが可能になる(プレゼントの品にもよるけど)。
しかしこれは大きな問題がある。プレゼントに応募する人で緊急にその商品を欲している人はいないという事実。本当にすぐに欲しいならプレゼントに応募する前にさっさと購入するはずでしょ。
「もちろん興味はあるけど今すぐ欲しい訳ではないな。まぁ当たれば貰うけど」程度の方がほとんど。そしてもう1つ問題があって、それは応募者の中には相当数のプレゼント(懸賞)マニアがいるということ。
以前、あるFacebookページで懸賞を試してみたけど、当選者のFacebookを見たら実に約3分の1の方のタイムラインには「○○懸賞に応募しました」という投稿しかなかった。
こういった方々は別にその商品に興味がある訳ではなく当選確率の高そうな懸賞に応募し当選することだけが目的なのでメルマガを配信しても何の意味もない。
自社の商品、サービスに興味のない人。興味はあっても今すぐに欲しい訳ではない人。そういった方々を一生懸命集めて母数を増やしたところで5%のコンバージョン率を維持なんてできない。
さらに本当はもっと情報を提供するべき人達に対して販売ページにばかり誘導するメルマガを配信しても、その店舗に対して良いイメージを持ってもらえる訳がない。
結果として多くの人に「好きになってもらいたい」と思って行った行為によって実はその何倍も「嫌われてしまう」といったことになりかねない。
必要な人に必要な時に必要な情報だけを提示する
自社の商品、サービスを購入してもらう=「好きになってもらう」というのは当然の行為だけど、それと同じぐらい重要なのは今、興味関心を持ち始めた人、情報を探している人に「嫌われない」こと。
そして「嫌われない」ためのポイントは必要ではない人に必要ではない情報を提示し続けるのではなく、検索広告であってもメルマガであってもそれが必要となった時にちゃんと自社を選んで貰える様に準備しておくこと。
売上、コンバージョン率など数字に出るわかりやすい成果の裏側で、時間をちゃんとかけて関係性を作っていけば後にお客様になって貰えたかもしれない数字に出にくい何倍もの人達があなたの店舗を嫌いになってしまい二度と帰って来なくなったなんてことにならない様、「嫌われない」ための施策もきっちりやっていこう!
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