お客様へのサービスをルール化することの弊害
ネットショップからの手書きのメッセージ
先日、あるネットショップで商品を購入。初めてのショップでしたが、注文してからの流れもスムーズで何のトラブルもなく当日発送、翌日には私の手元に到着。
ワクワクしながら届いた箱を開封すると中には商品と紙の大き目なクリップに止められた納品伝票が入っていて、そのクリップには手書きで「〇〇様 ご利用ありがとうございました」と記されていました。
ネットショップでよく買い物をされる方であればこういった手書きのメッセージを手にすることもあると思います。またこれを読んでいる方の中にはネットショップをやられている方も多いので自分の店舗でも似た様なことをしているという方もいるでしょう。
ただ今回、私はこのメッセージを受け取っても何の感慨も抱きませんでしたし、これによってこの店舗に対する気持ちや評価が上がるといったことは一切ありませんでした(もちろん欲しかった商品ですし、取引自体に何の問題もなかったので評価が下がることもありませんが)。
お客様に喜んで頂きたいという気持ちがルールになると
どの店舗であっても、サービスを始める動機は少しでもお客様とコミュニケーションを取りたい。お客様に喜んでもらいたいという気持ちからでしょう。
対面販売と違ってネットショップの場合はお客様と直接、コミュニケーションを取る機会が非常に少ないため、手書きのメッセージなどで人のぬくもりや想いを伝えることはとても重要なことです。
しかし、サービスがお店の中でルールとなってしまい、義務化されてしまうとお客様に喜んでもらいたいという気持ちで始めたことがいつしか単なるルーティンワークの一つとなってしまうことが間々あります。
私が冒頭の店舗の手書きメッセージに対して何の感慨も抱かなかったのはネットショップに慣れているからではなく、メッセージの内容や雰囲気からそういった匂いを感じたからです。
私に限らずお客様は正直で敏感です。対面でなくとも店舗側のそういった気持ちの変化、思惑にすぐ気づきます。
大事なのは手書きうんぬんではなく感謝の気持ち
お客様に喜んでもらいたい一心で始めたことによって実際にとても喜んでもらったという結果を得たということはとても良いことですし、それを他のメンバーと共有し、全員で実行していくということもとても大切です。
ただその根源の部分にはお客様に対する「感謝の気持ち」から始まっているということも含めて共有されていないといつしかルール化されたルーティンワークの一つになってしまい、いずれお客様にも見透かされてしまいます。
手間をかけて手書きでメッセージを書いているにも関わらずそれがかえってあざとさと捉えられてしまっては何の意味もありません。お客様は手書きだから感激するのではなく、自分のことを思って書いてくれていると思うからこそ感激するのです。
あなたの店舗でルール化されているものを改めて考え直してみてください。そのルールは今もちゃんとお客様への感謝の気持ちから行っていますか?単なる手間の一つになってしまってはいませんか?
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