良い商品であればストーリーなんて関係ないのか?
このブログでよく取り上げる「商品とストーリー」の関係。これについていつも思うのは、ストーリーを全く知らなくても夢中になれるものこそが本当に良い商品なのだろうか?
ストーリーに感動して夢中になった商品って実はそのストーリーが好きなだけで商品自体にはそれ程、興味ないのではないか?ということ。
例えば10代の頃に夢中になったミュージシャン。そのミュージシャンのストーリーなんてどうでも良かった。とにかくそのミュージシャンの奏でる楽曲が大好きで何度も何度も繰り返し繰り返し聞いていた。
それに対して今、夢中になっているBiS。もちろん最初は楽曲から入っている。最初の時点ではストーリーなんて関係なく好きになった。
でもずっと聞いていく過程の中で、それに付随するストーリーを知り、知ることによってますます好きになっていく。このあたりで商品(BiS)とストーリーの主従関係があやふやになっていく。
入口がストーリーではなく楽曲だったからまだ何とか音楽ありきを保っていられるけど、これがもしストーリーから入っていたらとっくに主客転倒してたかも。
情報量の問題ってのはあるかもしれない。
自分が10代の頃はネットなんてなかったから今と比べたら入手できる情報の量は圧倒的に少なかった。だからとにかく純粋に楽曲を聞き続けるしかなかった。
今はネットを開けば過去のインタビュー記事やライブ映像やファンのレビューなどとにかくあらゆる情報が一瞬で手に入る。
どっちが良かったなんて比べても意味はないけど極論言うと今は楽曲を聞かなくともストーリーを追っていくだけでも十分に楽しめる。
でも過去の情報なんて自分がこの目で見た訳ではないから本当に正しい情報なのかなんてのは分からない。もしかしたら都合よく書き換えられている部分もあるかもしれない。
だから商品ではなくストーリーから入った人にとっては今、目の前にある商品の価値よりもストーリーの方が大事なんて場合も多いのではないか?
少し前に話題になった佐村河内氏の件なんかがその典型で、ストーリーから入った人にとってはもう最初からストーリーが主であって楽曲は従でしかなかったからこそ、騙されたなんて怒りが湧いてくるわけだよね。
もちろん楽曲から入った人であってもゴーストライターでしたって言われたら多少はイメージ変わるだろうけど、でもそれによって好きだった楽曲を嫌いになるってことはそうないのではないのかな?
ストーリーに瑕疵がなければ問題ないよ。確かにそう。でも人の記憶なんてあやふやなもので自分が発信するときは正確で間違いないストーリーであっても人々に伝わっていく過程で少しづつ変わっていくことだってあるしね。
以前も書いたけど人でも商品でも歴史、ストーリーを持っていないなんてことは有り得ない。どんなものであっても様々な歴史やストーリー、背景を背負っている。
そしてそのストーリーが人々にとって感情移入しやすいものであったり感動的なものであったりすれば入口としてこれ以上のものはない。
情報をしっかりと発信して商品を気に入ってもらいさらにストーリーを伝えて大好きになってもらうという流れになれば言うことないのだろうけどお客さん側から能動的にあらゆる情報を入手できるようになった今、そこをコントロールするなんて不可能。
じゃあどうすればいい?
結局はとにかく良い商品、良いサービスを突き詰めていくしかないのかな。芯の部分さえしっかりしてれば順番なんてどうでもいいってなるんだろうな。
ってなると最初の疑問の答えはそんなこと考えても何の意味もないってことかな?
アウトプットしたら少しはすっきり考えがまとまるかと思ったけどまだ微妙にモヤモヤが残るなぁ……
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