最近、「パソコンの動きが遅い……」「起動に時間がかかる」と感じている士業の方は多いのではないでしょうか。パソコンの動作が遅いと、顧客対応や申請作業に支障をきたし、業務の遅延や信用の損失にもつながりかねません。
本記事では、パソコンが重くなる代表的な原因から、ご自身でできる具体的な対処法までをわかりやすく解説します。業務効率を改善し、ストレスなく仕事を進めるためのヒントをぜひ見つけてください。

パソコンが遅くなる主要な原因をチェック
パソコンの動作が重くなる原因はいくつかあります。まずはご自身のパソコンがどのケースに当てはまるか、一つずつ確認していきましょう。
1.常駐ソフトが多すぎる
パソコンを起動すると、多くのソフトが自動的に立ち上がることがあります。これらの常駐ソフトは、常にバックグラウンドで動作し、パソコンの処理能力を消費します。特に、使わないソフトが多数起動していると、それだけで動作が遅くなる原因となるでしょう。
2.ストレージ(HDD/SSD)の空き容量不足
パソコンのデータが保存される場所をストレージと呼びます。このストレージ(HDDやSSD)の空き容量が不足していると、パソコンの動作は著しく遅くなってしまいます。これは、新しいデータを保存するスペースが不足したり、一時ファイルを作成する領域が足りなかったりすることが原因です。容量の大きなファイルやソフトをたくさん保存している場合に起こりやすい問題です。
3.アップデートの滞り・不具合
Windowsや使用しているアプリケーションは、定期的にアップデートが行われます。このアップデートを怠っていると、システムの最適化が進まず、動作が重くなることがあります。また、まれにアップデート自体が原因で一時的に動作が不安定になるケースも考えられます。
4.ウイルス・マルウェアの影響
もしパソコンがウイルスやマルウェアに感染してしまった場合、これらの悪意あるソフトウェアがシステムリソースを大量に消費し、パソコンの動作を遅くすることがあります。最悪の場合、データが盗まれたり、壊されたりする危険性も伴うでしょう。
5.メモリ不足や経年劣化の可能性
パソコンの快適な動作に直結するのがメモリの容量です。複数のアプリケーションを同時に立ち上げたり、重い処理を行ったりすると、メモリが不足し動作が重くなります。また、パソコンも精密機器です。長年使用していると経年劣化が進み、部品の性能が落ちて動作が遅くなることがあります。
今日からできる!パソコンの動作改善策5選
ご自身のパソコンが遅くなる原因が特定できたら、次はその改善策を試してみましょう。今すぐできる対策を5つご紹介いたします。
1.起動時の不要アプリをオフにする設定方法
Windowsの「タスクマネージャー」を開き、「スタートアップ」タブから、起動時に自動で立ち上がる不要なアプリケーションを無効に設定してください。これにより、パソコン起動時の負担を軽減し、立ち上がりを早くすることが可能です。
2.ディスククリーンアップとデフラグで空き容量を確保
Windowsの標準機能である「ディスククリーンアップ」を実行すると、不要な一時ファイルやシステムファイルなどを安全に削除でき、ストレージの空き容量を増やせます。
ディスククリーンアップの具体的な手順(Windows 11の場合)
1.検索ボックスに「ディスククリーンアップ」と入力
・画面下部のタスクバーにある虫眼鏡アイコン(検索)をクリック
・表示された検索窓に「ディスククリーンアップ」と入力し、検索結果に表示される「ディスククリーンアップ」アプリをクリックして起動
2.クリーンアップするドライブを選択
・通常は「C:」ドライブが選択されています。そのまま「OK」をクリック
3.削除するファイルを選択
・削除可能なファイルの種類が一覧で表示される
・削除しても問題ないもの(「一時ファイル」「ごみ箱」「ダウンロード」など)にチェックを入れる
・「システムファイルのクリーンアップ」をクリックすると、Windows Updateの残骸など、さらに多くの不要ファイルを削除できる
・削除したいファイルにチェックを入れたら、「OK」をクリックしてください。確認メッセージが表示されたら「ファイルの削除」をクリック
また、HDDを使用している場合は「デフラグ」(ドライブの最適化とデフラグ)を行うことで、データの配置が最適化され、読み書き速度が向上する場合があります。デフラグとは、バラバラに保存されたデータを整理し、ひとまとまりに並べ直す作業です。ファイルを探す時間が短縮され、よりスムーズなデータの読み込みが可能になります。
デフラグ(ドライブの最適化)の具体的な手順(Windows 11の場合)
1.検索ボックスに「デフラグ」と入力
・タスクバーの虫眼鏡アイコン(検索)をクリック
・検索窓に「デフラグ」と入力し、検索結果に表示される「ドライブのデフラグと最適化」アプリをクリックして起動
2.最適化するドライブを選択
・通常は「C:」ドライブを選択
3.最適化を実行
・選択したドライブがHDD(ハードディスクドライブ)であることを確認
・「最適化」ボタンをクリックして、デフラグを開始
・SSD(ソリッドステートドライブ)の場合は、デフラグは不要
※「最適化」は実行しても問題ありませんが、HDDとは異なる処理が行われます。SSDの寿命を縮める可能性があるため、頻繁な実行は避けるのがおすすめ
3.セキュリティソフトの見直しと最適化
現在お使いのセキュリティソフトの設定を見直してみてください。リアルタイムスキャンが常に動作していると、その分リソースを消費します。適切なスキャン頻度や設定に見直すことで、パフォーマンスへの影響を抑えることができます。可能であれば、信頼性の高い軽量なセキュリティソフトへの切り替えも検討してみましょう。
セキュリティソフトについて詳しくは「士業の業務用パソコンに必須!情報漏洩から顧客を守るセキュリティソフトの選び方と対策」をご覧ください。
4.メモリ増設やSSD換装の検討
パソコンの購入から時間が経っており、頻繁にフリーズしたり動作が極端に遅かったりする場合は、メモリの増設や、HDDからSSDへの換装が非常に有効です。これらはハードウェアのアップグレードにあたり費用はかかりますが、体感できるほどパフォーマンスが向上する可能性があります。専門業者への相談も視野に入れてみてください。
5.Windows再インストールという最終手段
上記の方法を試しても改善が見られない場合は、Windowsの再インストールも検討する価値があります。これはパソコンを工場出荷時の状態に戻すため、蓄積された不要なファイルやシステム上の不具合が一掃され、動作が改善する可能性が高い方法です。ただし、データが全て消えてしまうため、必ず事前に必要なデータのバックアップを取るようにしてください。
士業の方が特に注意したい「見落としポイント」
一般のパソコン利用者とは異なり、士業の先生方特有の環境下でパソコンが重くなる原因が潜んでいることもあります。
会計・税務・文書管理ソフトが重くなる特有の原因
日々の業務で利用する会計ソフトや税務申告ソフト、文書管理ソフトなどは、大量のデータを扱うため、システムに大きな負荷をかけることがあります。
これらのソフトのデータベースが肥大化したり、他のアプリケーションとの連携がうまくいかなかったりすると、動作が遅くなることがあるのです。ソフトベンダーが推奨する動作環境を満たしているか、データベースの最適化機能がないかなどを確認してみましょう。
外部デバイス(プリンター・NAS)との接続遅延と解決策
日常的に使用するプリンターやNAS(ネットワークHDD)などの外部デバイスとの接続が不安定だったり、ドライバーに問題があったりすると、パソコン全体の動作に影響を与えることがあります。
これらのデバイスのドライバーが最新であるか確認し、必要であれば更新してください。ネットワーク環境の見直しも有効な場合があります。
それでも改善しない場合の最終判断と備え
さまざまな対策を試してもパソコンの動作が改善しない場合、いよいよ修理や買い替えの検討が必要になります。
修理?買い替え?判断の基準とプロの選び方
パソコンの修理費用が高額になる場合や、購入から年数がかなり経過している場合は、買い替えの方が費用対効果が高いケースがあります。修理の可否や費用の見積もりは、複数の専門業者に相談し、総合的に判断することをおすすめします。
士業の業務を滞りなく進めるためには、信頼できる業者を選ぶことが大切です。サポート体制や実績などをしっかり確認しましょう。
買い替え時の店舗選択について詳しくは「【士業PC購入完全ガイド】失敗しないための適正価格と安心の購入先とは?」をご覧ください。
業務が止まる前に備えておきたいデータバックアップの重要性
パソコンのトラブルは、いつ発生するかわかりません。万が一の事態に備え、日頃から重要な業務データや顧客情報のバックアップを習慣にすることが極めて重要です。クラウドストレージの活用や外付けHDDへの定期的なバックアップなど、複数の方法で大切なデータを守る体制を整えておきましょう。